1. ●トップページ
  2.  > 
  3. 【コラム】梅田陽子のマインドボディ便り

梅田陽子のマインドボディ便り

更新日:2009.01.01(木)

【第3話】
“CHANGE”の年

新年明けましておめでとうございます。

2008年を振り返り清水寺の境内では「変」と言う文字が描かれました。

振り返れば変革、変化の目立った年でした。アメリカ大統領候補は“CHANGE”の方向性が示されましたし、日本の首相も 再び変わりました。大阪府知事も変れば、大阪市長も変わりました(前年度年末でしたが)、京大の学長も25代目に変わりました。 周囲を取り巻く社会のリーダーは次々に交代しました。 しかし、社会や何より生活が改善したと実感することはほとんどありませんでした。政局は代わっても生活の根幹を担う政策自体が 変わったように実生活で一向に感じられなかったからです。

運動指導者の立場より考えて見ますと、2005年に介護予防特定高齢者事業で筋力トレーニング効果が見直され、 さあこれからと意気込んだのですが、対象となる高齢者の方々と接する機会はほとんど実現しませんでした。 2008年、メタボリックシンドロームの考え方から特定検診・特定保健指導が保険者に義務化され対象者は56000人との 算出から、いよいよ運動指導者の人数が足りなくなるほどの出番が回ってくる!と予測されました。 健康運動指導士は認定試験が改定され受験者が急増したほどです。

しかし実際はどうでしょうか?これらの政策から運動指導者の職域が広がり、今まで接する機会の持てなかった方々の 運動指導にやっと取り組めるようになったと言う意欲的な声はなかなか聞こえてきません。それどころか、本来一番の 職域であるスポーツクラブの多くは会員数が減少し、厳しい運営を迫られており、そこに職場が集中するものにとっては ますます厳しい現実が突きつけられています。

「1に運動2に食事・・・」と厚生労働省はキャッチフレーズを発信しました。エクササイズガイドは2006年に 今までにない新しい視点で見直されました。にも関わらず運動指導者の職域は広がりが見えないどころか、 ますます厳しくなっています。医療機関における運動療法でも確固たる地位を築けないのは、健康運動指導士の 運動指導では保険点数を稼ぐことは実際困難だからです。

エクササイズやスポーツの運動指導者に国家資格はなく今だに保健体育の領域での教員免許しかありません。 運動実施が健康づくりには何より大切であることは誰の目にもゆるぎない事実です。従事する運動指導者は 重要な職種です。それに確固たる地位を与え、社会のしくみに組み込み明確に位置づけ、責任を持たせ活動 させることが必要なのです。運動が大事と分かっているならその専門家を大事にするべきです。

社会のリーダーが何度代わっても一向に運動指導者の職域は不確定ではいけないのです。社会の一員として、 専門性を発揮して社会に貢献できるためには生活を安定し営んで行けるよう運動指導者が運動指導で社会生活を 営んでゆける現実的な社会制度が必要です。

トータルフィットは一貫して研究や業務を通して健康運動指導者の地位向上と職域拡大のために発信し続けます。 そして心身健康づくり研究会では自分たちの能力を高めるために学習し続けます。

2009年、丑年。どれだけ不況の波が押し寄せても、人に何よりも大切なのはその社会の中で生き生きと生きてゆくことです。

Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease of infirmity.

自身を律しそしてすべての人々に対して健康づくりの手を緩めることなくまじめに社会に貢献し続けるものたちへ、 国は真剣に目を向けるときに来ています。幸福に安心して暮らせる国政が必要です。2009年こそ運動指導者や健康 づくりの従事者にとって“CHANGE”の年の始まりとなりますように、願いをこめてトータルフィットは前進して参ります。

皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。



梅田 陽子



【コラム更新一覧】